治療院の選び方についてまとめてみました。

どこへ行けばいいの?

 例えば、ご自分に病気やけがなど不快な症状が現れ、どこかで治療をしなければならなくなったとき、皆さんはどこへ行こうと考えますか?
 激しい症状や大きなけがなどは整形外科や外科などがすぐに思い浮かぶと思いますが、「病院へ行くほどでもない症状」、「不快な症状が治まらない時」、または、「病院ではあまり対処してくれなかった時」、皆さんはどこで治療を受けようと思いますか?
 接骨院、整骨院、カイロプラクティック、整体、アロマテラピー、リフレクソロジー、タイ式○○、韓国○○、鍼灸院、按摩、マッサージ、指圧、クイックマッサージなど、各種の治療法や治療院が乱立している中、ご自分の症状はどこに行けばよりスムーズに治してくれるか医療関係者でないと中々分からないと思います。
 これらはすべて、「医療類似行為」とか、「代替医療」と呼ばれるもので、「生活の質を上げる為の医療」です。
 ここでは、それぞれで行われている業務を中心に説明して行きたいと思います。

業務内容とその特徴

☆整形外科

 脱臼、骨折、捻挫、肩こり、腰痛、膝痛、股関節痛、腱鞘炎、スポーツ障害、関節リウマチ、骨・軟部の腫瘍などが診察対象になります。各種検査(レントゲン、MRI、CT、超音波、徒手検査など)を行い、脱臼、骨折、断裂、変形など、明らかな異常所見が有るものは手術などの治療対象となります。各種検査で異常のないもの、軽度のもの、慢性化したものは治療対象となり難く、低周波、超音波などの電気治療や痛み止めや湿布などで要経過観察となる事が多くなります。

☆接骨院・整骨院・ほねつぎ

 厚生労働省が認めた国家資格である「柔道整復師免許」を取得し、骨折、脱臼、打撲、捻挫などの治療を行うことができます。また、骨折、脱臼の場合は、整復、固定の応急手当てを行い、医師の同意のもとで施術(治療)を行うことができます。

☆整体・カイロプラクティック

 脊椎、骨盤、肩甲骨、四肢(上肢・下肢)など、骨格や関節の歪み、ズレの矯正、骨格筋の調整などを、手足を使った手技と補助道具でおこなう技法です。しかし、現在の日本においては法的な資格制度は存在せず、民間療法として誰もが自由に開業、施術が出来得る状態にあるため、国内で行われている整体、カイロプラクティックについては決まった定義がなく、行われている内容については個人によって大きな違いがあります。

☆アロマテラピー

 エッセンシャルオイルや植物由来の芳香を用いて、病気の予防や
心身の健康やリラクセーション、ストレスの解消などを目的とする技法で、オイルを使った芳香浴、吸入、全身浴、部分浴、オイルマッサージ、内服などがあります。

☆〇〇マッサージ

 タイ式マッサージ、足つぼマッサージ、クイックマッサージ、アロママッサージなど、○○マッサージという名称が付くものは沢山ありますが、厳密に言えば、マッサージは国家試験に合格した「マッサージ師」しか行う事ができません。しかし、頭に○○マッサージと付ければ例外となり、厚生労働省の管轄から外れる為、医療行為とはならず、エステなどと同じ「娯楽施設」という項目になるため、取り締まりの対象にはならないのです。その為、行われている業務も「治療」ではなく「リラックス」が中心になります。

☆鍼灸

 鍼灸院の治療は、西洋医学的な解剖学を考えて行われる治療と、東洋医学的なツボや経絡を考えて行われる治療の2つに分類されます。その割合は9:1と、西洋医学的な治療を行う治療院がほとんどになります。解剖学的に行われる治療は筋肉や腱の状態を触診や検査などで観察し、原因を突き止め筋肉や腱の走行に沿って鍼を行います。その為、肩こりや腰痛などの筋肉の疾患や、ひざ、ひじなどの関節の疾患が主な治療対象になります。東洋医学的に行われる治療は、肩こりや腰痛などでも、その患部にこだわることなく、全身の状態を観察し、体の寒熱の状態、水分代謝、血流の状態を考えながら体のバランスを整えるように鍼をします。つまり、人間が持っている治そうとする力をバランスを整える事によって補っている治療になります。その為、WHO(世界保健機関)において鍼灸療法の適応とされた疾患は、神経系疾患、運動器系疾患、循環器系疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患、代謝内分泌系疾患、生殖・泌尿器系疾患、婦人科系疾患、耳鼻咽喉科系疾患、眼科系疾患、小児科疾患と、多様になります。

☆按摩・マッサージ・指圧

 按摩、指圧とマッサージは一見同じような手技ですが、按摩、指圧は日本で独自に発展した手技で、ツボや経絡を意識して行い、按摩は遠心的(心臓に近い方から遠い方に向けて)に治療を行います。また按摩は衣服の上から行います。指圧は、母指を中心として四指、手掌を使い、ツボを押圧します。マッサージはフランスで発展した手技で、西洋医学の解剖学を考え行われ、求心的に直接皮膚に行います。しかし、現代では手技を区別して行っているところは少なく、各種の運動器疾患(肩こり・腰痛・膝痛・頭痛・など)に術者の得意な手技を行っています。

自分に合った選び方

 ここまで各種施術法や適応などを説明しました。しかし、実際には「接骨院」と言っても色々な接骨院が有りますし、鍼灸院も色々です。帰ってどこへ行けばいいのか分からなくなったと言う方もいらっしゃるかも知れません。そこで、下表の様な考え方も有ります。


☆A

 リラックス重視で内容重視になります。例えて言うなら「高級エステ」や「ホテルのマッサージ」などです。リラックスを目的に多少お金がかかってもじっくりみてもらいたい方にお勧めです。

☆B

 何か症状が有り、より丁寧に診てもらいたい方にお勧めです。時間をかける分一人ひとりの症状を良く聞きオーダーメイドの治療を行います。しかし、時間かかる分だけ価格も上がります。当院は恐らくBに入ると思います。

☆C

 リラックス重視で低価格です。クイックマッサージなどはCに入ります。低価格で手っ取り早くリラックスしたい方にお勧めです。

☆D

 何か症状が有り、低価格で診てもらいたい方にお勧めです。治療重視になりますが、低価格なので、一人にかける時間は長くは有りません。接骨院の多くはDに入ります。 

 これらの内容は一度施術を受けるか、行った人に感想を聞くしか細かく分かりません。最近ではホームページが充実していますので、各施設で値段や内容を説明しているので参考になるでしょう。
 少なくても、「こんなはずではなかった!」と間違った選択をしないためにも何を目的に、何を期待して施術を受けたいのかをはっきりしてから、自分に合った治療院やサービスを選ぶ事をお勧めします。

清須市の鍼灸院で働く若先生より